妹尾病院 相田 安東 安佐南区 広島市 循環器内科・心臓血管外科・内科・外科・消化器内科・リウマチ科・神経内科・リハビリテーション科

当院について

院長挨拶

 私たちひとりひとりの人生に物語があり、それはその人にとっても家族にとってもとても大切で貴重なものです。他の誰もが立ち入ることはできません。
 その人の病気が、徐々に進行し、生命に関わるような緊迫した状況で治癒の可能性がない時、その病気と共に最後まで自分らしく生きぬくために、私たちは緩和ケアを必要としています。
 一人一人の人生に山あり谷ありで、谷のどん底にいると向こうが見えません。暗闇の中でどうすべきか迷ってしまうでしょう。山に登れば前方が開けてきます。そうしたひとりひとりの物語をきちんとやさしくそのまま受け止めながら、患者さん本人とその家族の想いを大切にしてケアしていくのが緩和ケアです。自分の命を自分らしく設計し、平素から人生観や死生観をもって自分らしさが感じられるような躍動の人生を最後まで過ごせるような支援でもあるのです。
 当病院は、緩和ケアをスタートして20年が経過しました。最初は緩和ケアを必要とする人は数人で、往診をしながら、入院となれば酸素の配管設備もない不十分な状況の中で最期の看取りをしました。その翌年、緩和ケア病棟の建築基準を満たす病棟を増改築し、入院療養環境の改善を図り、緩和ケアを対象とした患者さんを受け入れました。月日が経ち緩和ケアを必要とする多くの方との出会いがありました。その中で私たちは生きていくことの大切さを教えられました。
 私は臨床医として、1999年緩和ケアをスタートするまでに心臓血管外科・心血管インターベンション治療・消化器外科・救急・死体検案など幅広く携わってきました。その経験を生かして、現在も循環器診療と緩和ケアに従事しています。がんは急に人の命を奪う病気ではありませんが、がんで死にたくないと多くの人は思っています。誰しも苦しみや痛み、呼吸困難など苦痛なく最期まで過ごしたいと思っています。心臓病や脳卒中、肺炎などで亡くなられる方は、がんの方よりもずっと短く生涯を終える場合が多いのです。特に循環器疾患では急変し突然亡くなることが多く、そうした人の死と向き合いながら、その人らしく生きぬくことの大切さを教えられ、人の命のはかなさも教えられました。そうした仕事をしながら緩和ケアの必要性を痛感し、平成9年から日本全国の数少ないホスピスを見学してまわりました。その頃は終末期医療という言葉が使われていました。それから後、「その人らしく最期まで生きる」ということに主眼に置きながらケアしていく「緩和医療」「緩和ケア」という言葉に変わりました。
 患者さんはいつも、たとえ人生の最期にあっても、「活き活きと生きたい」という願いを持ちながら、常に人間として成長しています。そしていつも、誰でも、少しでも長く生きたいという希望を持っています。患者さんは、自ら現実をそのまま受け止めることで、自分自身を知りながら、周囲の人の愛を感じながら、精神的にも成長し、心は豊かになっています。緩和ケアを必要とする人は、がん患者さんだけではありません。慢性心不全の心臓病、肺気腫など閉塞性肺疾患、肺線維症、間質性肺炎などの呼吸器疾患、神経疾患、慢性腎不全など治癒の可能性がない疾患の方も含まれます。すでに手を尽くされて、治療法がないとしても精神、 身体の両面から支えていくことは可能です。
 例えば心臓病の場合について考えてみますと、近年高齢化の時代を迎えて慢性心不全で亡くなる人が増加しています。急性心筋梗塞は、突然死の原因のひとつでありますが、発症からの治療までの時間が短ければ短いほど救命率は高く、心血管のインターベンション治療によって救命率は格段に向上しましたが、近年は冠動脈CT検査など非侵襲的な検査方法を駆使して、そうした心血管イベントの予防や治療に直結した診断が可能となりました。一方、心不全死は急性心筋梗塞の死亡の倍近くに達し、近年増加傾向となりつつあります。日本人の死因別の死亡数をみると、悪性新生物が最も多く、心疾患は2位で、そのうちで最も多いのが心不全です。心不全の基礎疾患は、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞によるもの)と高血圧性心疾患です。高血圧症が長く続くと心筋の障害が出現し、いずれ心不全となります。高血圧の既往のある方が、心不全の50%を超えているのが現状です。急性心筋梗塞・狭心症などの虚血性心臓病の方への緊急心血管インターベンションによる治療もとても大切ですが、後追い的な治療よりも、虚血性心臓病や心不全に至る前に、冠動脈CTなどの高度な診断技術を駆使し、正確な診断を行い、適切な治療に結びつくこと、さらに予防的な治療を 目的とした治療が大切であると考えています。
 昨年、「健康寿命の延伸等を図るために脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が国の方策として決められました。血圧コントロールにて脳出血の死亡率は低下しましたが、心疾患や脳梗塞による死亡率が減少せず、脳梗塞による死亡率が脳出血による死亡率を凌駕しているのが現状です。血管病による死亡数は、がん患者の死亡数と同等であるといわれています。血管病の予防のために、様々な検査法を駆使しながら、高齢化の因子のみならず生活習慣病などをいかに変えることで動脈硬化を予防していくかが重要となっていきます。そのために、正しい知識をもって日常生活の予防に積極的な取り組みをすすめるのがこれからの臨床現場で必要とされていると考えます。特に、これからそうした検査ができるような外来での体制を整えていきたいと思っています。
 当院は48床の一般病床と外来機能を効果的に発揮するために、緩和ケアの理念(ホスピスマインド)に基づいた病院づくりを行っています。ホスピスとは「温かく人を迎え入れること」「もてなし」という意味で「ホスト」「ホテル」「ホスピタリティー」などの語源と同じです。施設というよりも、むしろケア(看護・介護・世話・配慮・気遣い)の内容を指しています。私たちスタッフは、いずれは同じ死にゆく人間として、その方の人生がより充実したものとなるように一人一人の人生を大切にしながら、一人一人を尊重し、今まで生きて来られたことに対して敬意をもって接します。循環器疾患に限らず医療の質を確保するために、医療の技術の向上に努めながら、ハードの面でも充実を図っていくこと、痛みや精神的な苦痛を軽減し、安心して受けられるような全人的な医療を目指すことにより、質の高い医療を提供することが地域に貢献することと考えています。
 当病院は、患者さん一人一人を尊重し、安心して医療が受けられるように医療の充実を図るように努めています。患者さんの権利を尊重し、相互の理解のもとに医療を提供していきます。地域で必要とされている医療を中心に、その質を充実させるように医療技術の向上に努め、職員お互いに「和敬」の精神でチーム医療を実践し、より良い医療を提供する努力をすることを基本理念としています。
 地域での役割を常に認識し、地域のニーズに応えながら、ホスピスマインドを持って循環器内科・心臓血管外科・外科・内科・消化器内科・リウマチ・痛風・膠原病科・神経内科・リハビリテーション科などの幅広く受け入れをしています。最近では、短期入院の下肢静脈瘤外科手術及びレーザー治療も、地域のニーズとして行うようになりました。
当院は、上記専門的外来診療のみならず、緩和ケアを必要とする方の緩和ケア外来ならびに住宅緩和ケアを必要とする方の訪問診療などの在宅医療も実施しています。

在宅の方や、診療所・介護施設からの紹介による緊急入院の受け入れなど急性期医療としての機能のみならず、公的な総合病院からの亜急性期・回復期・緩和ケアを必要とした方を受け入れること、特に循環器診療、緩和ケア診療、消化器診療を中心に、さらに予防的な医療も含めた幅広い分野でより地域の多くの方々に貢献していくことが妹尾病院の使命です。

「Boa sorte para paciente e para nos」
「患者さんと我々に幸あらんことを」

院長 妹尾 雅明

 

当院の紹介

医療理念

  • 患者さん本位の医療
  • 全人的な医療
  • 信頼される医療
  • 個性と各人の生命の質を尊重した医療
  • 人間として尊厳ある医療
 

患者さんの権利に関する宣言

私たち、妹尾病院の職員は、当院での医療において、患者さんが真に人間として尊重され、より良い人間関係を築きながら共に安心して医療が行われるために、ここに患者さんの権利宣言を掲げます。

  • 患者さんは、医師の人格および能力を基準として自由に医師を選ぶ権利を持っている。
  • 患者さんは、十分な説明を受けた後に、治療を受ける権利あるいは治療を受けることを拒否する権利を持っている。
  • 患者さんは、医師および医療従事者が知り得た患者さんの秘密および個人的秘密を尊重することを期待する権利を持っている。
  • 患者さんはいかなる状態にあっても人格が尊重され、尊厳をもってその生を全うする権利を持っている。
  • 患者さんは、その社会経済的地位・国籍・人種・宗教・年齢・性別・病気の種類によって差別されることなく、平等な治療を受ける権利を持っている。
  • 患者さんは医療費の明細報告と医療費の公的援助に関する情報を受ける権利を持っている。

この宣言を尊重しながら、現実に努力を行うという共通認識のもとに、職員一同努力していきたいと思います。



更新日:2019-06-17