妹尾病院 相田 安東 安佐南区 広島市 循環器内科・心臓血管外科・内科・外科・消化器内科・リウマチ科・神経内科・リハビリテーション科

小冊子の紹介


 

ホスピスマインドの病院をめざして ~緩和ケアをもっと知るために~


 

 当院の循環器内科、心臓血管外科では、専門医資格と十分な経験をもつ常勤医2人を中心に、狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症、不整脈、ペースメーカー、下肢静脈瘤、大動脈瘤などの循環器疾患の診療を行っています。また心臓病にならないためには、高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、肥満等の生活習慣病の管理をして、動脈硬化を予防することが大切です。病気を治すのみならず、予防からしっかり行い、皆様の人生をより豊かにできるような医療を行っていきたいと考えております。

 そのためには、ご自身の状態を経時的に分かりやすく把握していることが御本人にとっても医療機関にとっても必要なことです。その一助となるように、承知しておいていただきたい情報(各種検査の目的、結果、治療の経過、服薬中の薬の情報等)を記載した「心臓手帳」をお渡しいたします。

緩和ケアの基本的な考え方

  • ホスピス=「温かくひとを迎え入れる場所」- 看護、介護、世話、配慮、気遣い
  • 生きていることを尊重する- 生きている、心豊かに、自分らしく生きている。命ある光の中で。
  • 家族とともにケアする- 患者と家族は一つの単位である。
  • 苦痛の緩和:なにが最もその人を苦しめているのかを考える。
  • 開かれた人間関係(心を開く、誠実であること)

内容一部紹介

2.緩和ケアとは?

 昔は、緩和ケアという言葉はなく、ホスピスと言っていました。その、ホスピスという言葉そのものはホテルとか、ホスピタル(病院)と同様に、『おもてなしをする』というラテン語から発生した言葉なのです。中世の頃、旅人が病気になった時、何日か宿泊して、もてなしを受けながら体を癒す、というところから始まっています。

 現在は、『緩和ケア』という言葉に変わってきています。実際の医療の現場では、手術をして傷が癒えて元気に退院される方もいらっしゃいますし、一方で色々手を尽くしても治らない病気の方もいらっしゃいます。きちんとした手術や治療を受けて治る場合はよいのですが、治らない場合には、今度はケアも並行して行っていくことになります。つまり、精神的なサポートを、身体的なケアと同時に、並行して行う必要が出て参ります。

 がんや心臓病で手術をして治っても、しかし何年かしてまた再発することもあります。良くすることは出来るけれども、また何年かして同じように再発してしまったり、徐々に病気が進行して、ついにはもう手を尽くす術がなくなってしまうこともあります。そうした場合に、精神面と身体面の両面から、一人一人の患者さんに合ったトータル的なケアを行う医療が必要でしょう。つまり、病気が進行していく過程で必要になるのが緩和ケア、なんですね。・・・・・・・・・・・・・・・・・

 その人らしく最期まで過ごせるようにということです。だから、これはなくなるためのケアじゃなくて、生きるためのケアなのです。

11.緩和ケアスタッフに求められること

スタッフは、やはり元気でないといけませんね。スタッフ自身の中に悩みがあるなど、問題を抱えていると、なかなか、患者さんのケアをうまく出来ないこともあると思います。人それぞれに悩みはありますが、心の方向性と言うのでしょうか、心が自分自身に向かっているというのが非常に大事ではないかと思います。心が自分自身に向かっていれば、患者さんの話を聞きながらも、冷静に判断できるのではないでしょうか。

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 常に、人と人との出会いがあるわけです。患者さんともお話しする中で、むしろ私の方が勇気を与えられることがあるように思います。

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 スタッフは常に平常心で、冷静に判断することが重要だと思うのです。そして、患者さんのニーズがどこにあるのかということに集中してケアしていくことがとても大切だと思います。・・・ご家族が何を求められているのかというニーズを十分に知ることが必要でしょう。

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 そのためには、私も含めてスタッフの一人一人が、祈りの気持ちを持って仕事に当たることも大事なことだと思います。・・・・今日は患者さんにどういうふうに過ごして欲しいとか、どういうふうになって欲しいとか、心の中で深く祈る。そして自分自身もどのように今日は一日過ごしていきたいのか、常に自分自身を見つめていきながら仕事をしていくことです。・・・・・

 人のためにも祈るし、自分のためにも祈る。こういう気持ちがないと、常に冷静に仕事をするのは難しいように思えます。